
顔認証タイムレコーダーの仕組みと、選ぶ前に確認すべきこと
- FaceClock Team
- Guides
- 2026年9月30日
目次
顔認証タイムレコーダーの仕事は1つだけです。シフトの始まりに誰かがカメラの前に立ち、システムがそれが誰かを判断し、時刻が記録に残る。シフトの終わりも同じです。
考え方はそれだけです。製品ごとの違いは、それ以外のすべてにあります。照合をどこで行うか、間違えたときにどうなるか、1人あたりいくらかかるか、そしてスタッフの顔のデータを最終的に誰が持つのか。このガイドはそれらを順に見ていきます。40ページの製品説明を読まなくても選べるように。
先にお断りしておくと、私たちは Android 向けの顔認証勤怠アプリ FaceClock を作っています。どこに向いていて、どこに向いていないかも正直に書きます。
顔認証が打刻するまでの流れ
市場にあるどのシステムも、400ドルの壁掛け端末からスマホのアプリまで、だいたい同じ4つのステップを踏みます。
- 検出。 カメラの映像から顔を見つけて切り出します。FaceClock は YuNet という小さなモデルを使っています。227 KB です。
- 符号化。 切り出した顔をベクトル、つまりその顔を表す数値の並びに変換します。FaceClock は SFace を使い、1つの顔から128個の数値を作ります。
- 比較。 そのベクトルが、登録されている各人のベクトルとどれだけ近いかを測ります。
- 判定。 いちばん近いものが十分に近ければ、つまりしきい値を超えていればその人です。そうでなければ、誰も打刻されません。
トレードオフはステップ4にあります。しきい値をゆるくすると、ときどき別の人を打刻してしまいます。厳しくすると、ときどき本人にもう一度見てもらうことになります。給与計算にとって安く済むのは後者です。「もう一度お願いします」は3秒で済みますが、別人の名前で記録されたシフトは月末の言い争いになります。だから FaceClock は厳しめに設定しています。
カード、PIN、指紋から顔に切り替える理由
主な理由は1つ、代理打刻です。PIN はメッセージで送れます。カードは貸せます。顔は貸せませんし、打刻のたびにカメラの前に立っていた人の写真が残ります。
ほかの理由は小さいけれど、確かにあります。
- なくしたり忘れたりするものがない。 カードの再発行も、月曜の朝の PIN のリセットもありません。
- 触るものがない。 指紋リーダーは厨房で汚れ、小麦粉、工事現場のほこり、冬の乾燥した肌で失敗します。カメラは気にしません。
- すり減るものがない。 指紋センサーはいつか壊れる部品です。タブレットのカメラはタブレット本体より長持ちします。
PIN キーパッドと比べて失うもの:顔のデータは生体情報であり、法的な義務がついてきます。これについては後で触れます。
顔認証タイムレコーダーの3つのタイプ
1. 壁掛け端末
カメラと小さな画面のついた箱を壁にねじ止めするタイプで、カードリーダーや指紋センサーが一体になっていることも多いです。ZKTeco や Anviz などのメーカーが多く販売しています。
- 得意なこと: 丈夫さ。工場の入口向けに作られています。多くはオフラインで動き、あとで同期します。
- 苦手なこと: ハードウェア以外のすべて。設定は Windows のソフトやクラウドのポータル経由のことが多く、壊れたら特定の機種を取り寄せることになります。
- 費用: 本体はたいてい数百ドルからの買い切りで、別にソフトウェアの月額料金がかかることもあります。
2. タブレットの「キオスクモード」を使うクラウドアプリ
シフト管理や給与計算などの大きな製品の一部として、タブレットを打刻端末にする勤怠サービスです。顔の照合はふつうベンダーのサーバーで行われます。
- 得意なこと: 全体の見える化。複数拠点のダッシュボード、シフト表、給与計算との連携、遅刻の通知。
- 苦手なこと: インターネットなしでの動作と、プライバシー。顔の画像やベクトルが店の外に出るので、スタッフの生体情報が第三者の手元に置かれます。土曜の夜に Wi-Fi が落ちれば、打刻は保留になるか失敗します。
- 費用: ユーザーごとの月額料金。1人あたり月に数ドル程度が多いですが、20人のチームで数年となると大きな額になります。
3. 端末内で動くアプリ
検出、符号化、照合のすべてをスマホやタブレットの中で行うアプリです。何もどこにも送りません。FaceClock はこのタイプです。
- 得意なこと: プライバシー、費用、そしてネットが弱い場所や届かない場所での動作。地下、市場の屋台、工事現場、郊外の工房。
- 苦手なこと: 端末同士が通信する必要があることすべて。5拠点をまとめるダッシュボードも、リアルタイムの通知も、給与システムとの直接の同期もありません。勤務時間は出力して、必要な場所へ持っていきます。
- 費用: FaceClock は無料です。必要なハードウェアは、引き出しに眠っているかもしれない Android 端末だけです。
顔認証タイムレコーダーが失敗する場面(すべての製品に共通)
これに触れないベンダーは疑ったほうがいいと思います。
逆光。 朝8時にガラス扉の方を向いたカメラには、シルエットしか映りません。「認識してくれない」の原因の第1位です。光が人の後ろではなく、カメラの後ろにくるように設置してください。
見た目の大きな変化。 1か月で伸ばしたひげや、太いフレームの新しいメガネで、しきい値を下回ることがあります。登録し直せば1分で済みます。
双子やよく似たきょうだい。 一般的な顔認証は一卵性双生児を区別しにくいことがあります。双子のスタッフがいるなら、別の打刻方法を用意するか、写真でシフトを確認してください。
顔写真。 同僚の写真をかざすのは、いちばんわかりやすい攻撃です。高価な端末は赤外線や3Dセンサーによる生体検知でこれを防ぎます。FaceClock は、なりすまし対策の専用モデルを動かしていません。その代わり、出勤と退勤のたびに写真を残すので、管理者がシフト記録を見れば、カメラにかざされたスマホの画面にすぐ気づきます。10人のカフェなら抑止力としてたいてい十分です。300人の協力会社が出入りする現場なら、ハードウェアの生体検知が必要です。
法律の話を少しだけ
日本では、顔の特徴データは個人情報保護法の「個人識別符号」にあたり、利用目的の特定と通知・公表が必要です。EU では人を識別するための顔データは GDPR 第9条の対象です。イリノイ州の BIPA は、最初のスキャンの前に署名による許可を求め、違反1件あたり1,000〜5,000ドルの請求をスタッフに認めています。
いちばん大きな要素は、生体情報が端末の外に出るかどうかです。出るなら、ベンダーとの関係、データの移転、漏えいのリスクを説明しなければなりません。出ないなら、その大半が消え、残るのは説明、同意、保存期間という、あなたが管理できるものだけです。詳しくは顔認証の勤怠管理と法律をご覧ください。
選ぶ前のチェックリスト
どの製品ページを見るときにも使ってください。私たちのページも含めて。
- 照合はどこで行われるか。 端末内か、サーバーか。書いていなければ、サーバーだと考えましょう。
- インターネットなしで動くか。 「しばらくキャッシュする」ではなく、いつまでも動くかどうか。
- 何を保存するか。 写真か、ベクトルか、両方か。期間は? 自動で削除されるか?
- スタッフが自分のスマホなしで打刻できるか。 19歳のキッチンスタッフに、給料をもらうためにアプリを入れてもらうのは余計な手間です。
- 認識されなかったらどうなるか。 再試行、別の方法、管理者による承認?
- 管理者が後から打刻時刻を変えられるか。 そうしたい経営者もいます。反対に、誰にもこっそり直せない記録を求める人もいます。FaceClock は後者です。記録されたシフトは動かせず、追加することしかできません。
- 勤務時間はどうやって給与計算に届くか。 CSV、PDF、直接連携?
- 自分の会社の人数で3年間にいくらかかるか。 ユーザー単価は、掛け算するまで小さく見えます。
- 支払いをやめたらデータはどうなるか。 クラウド製品なら、出力の方法と削除の方法を聞きましょう。
FaceClock が向いている場合、向いていない場合
入口が1つで、3〜50人ほどが働く1拠点に向いています。カフェ、美容室、歯科医院、工房、小さな倉庫、学校の事務室など。設置はこうします。
- Android 7.0 以上の端末を用意します。古いスマホや安いタブレットで十分です。
- 入口の顔の高さに設置し、光が顔の後ろではなく顔に当たるようにします。設定で「画面を常にオン」を有効にし、充電器につないでおきます。
- 事前の登録は不要です。知らない顔が初めてボタンをタップすると、アプリが名前を尋ねて基準写真を撮ります。それ以降、その人はタップして見るだけです。
- 日をまたぐシフトは1件の記録として保存されます。退勤の打刻を忘れた場合、最大シフト時間(初期値12時間)を過ぎた次の打刻で新しいシフトが始まります。
- 給与計算のときに、CSV か打刻写真つきの PDF を出力します。シフトは90日保存された後に自動で削除されるので、少なくとも月に1回は出力してください。
複数拠点を1つのダッシュボードで見たい、ハードウェアの生体検知が必要、給与システムと直接連携したい、アプリの画面を英語かロシア語以外で使いたい、という場合には向いていません。その場合は上のクラウド製品や壁掛け端末を検討し、チェックリストで比べてください。
日々の運用の全体像は、12人のカフェを最初から最後まで追ったカフェとレストランの勤怠管理で紹介しています。
